認知症とは?

認知症の家族にも介護する家族にも優しい家づくりに必要な5つのポイント!

認知症とは、脳の病気や障害などにより、複数の認知機能が低下している状態のことを言います。

この「認知機能」というのは、

・記憶

・理解

・言語

・集中

などの機能のことを指し、これらが低下することで普通の生活が送れなくなってしまうことがあります。

 

このような認知症を家族が発症してしまったら、皆さんはどのように付き合っていきますか?

認知症は、介護される側も介護する側も大変な病気です。

決して他人事ではない「認知症」。

少しでも負担を軽減できるよう、今から将来を見据えた家づくりをしましょう。

 

そこで今回は、認知症の家族にも介護する家族にも優しい家づくりのポイントについて詳しくご紹介します。

認知症は5人に1人の身近な病気

高齢化社会となる日本において、認知症は決して珍しい病気ではありません。

厚生労働省によれば(※)、65歳以上の認知症は2020年度時点でおよそ600万人。

2025年には、700万人以上(5人に1人の割合)になるとも言われており、とても身近な病気なんです。

 

自分も親もまだ元気だから大丈夫!…なんて思っている方も多いかもしれませんが、こうしてみると誰にでも訪れるリスクのある病気であることが分かると思います。

 

※参考資料:厚生労働省HP「みんなのメンタルヘルス」より

 

認知症の症状は?

認知症の家族にも介護する家族にも優しい家づくりに必要な5つのポイント!

認知症の主な症状は以下のとおりです。

最初は物忘れだけだったのが、徐々に進行していき、これまで通りの生活が送れなくなってしまいます。

初期段階で早期発見をし、適切な対処を行うことで、進行を遅らせることができるそうなので、「認知症かも?」という疑いがあった場合は、早めの診断を受けることが大切かもしれませんね。

~初期症状~

・物忘れが多くなる

・言葉を話すのが難しくなる

・これまでできていた簡単な機械の操作ができなくなる

 

~中期から後期症状~

・徘徊

・昼夜逆転

・物を盗られたという妄想をする

・同じ話を何度もしたり同じ物を何個も購入したりする

・慣れた道で迷う

・曜日や日付がわからない

・仕事や家事の段取りがわからなくなる

・食事やトイレなど身の回りのことができなくなる

・うつ症状が出る

・暴言や暴力を振るうようになる

・家族の顔や親しい人がわからなくなる

など。

 

最初は本人の自覚があるそうですが、徐々に自分が自分でないような…そんな気分になってしまうのが認知症なのだとか。

他人事ではない病気だからこそ、認知症への理解を深め、認知症になった家族へ寄り添う気持ちが大切かもしれませんね。

 

認知症の家族に優しい家づくりに必要な5つのポイント

認知症の家族にも介護する家族にも優しい家づくりに必要な5つのポイント!

では具体的にどのような家が、認知症の家族にとって暮らしやすいのでしょうか?

以下を参考に、認知症の家族や介護する家族に優しい家づくりについて考えてみてくださいね。

【ポイント①転倒・転落のリスクを回避する】

認知症の方は、段差や階段などを認識することが難しいため、少しの段差でもつまずいて転んでしまうことがよくあります。

階段であれば、転落のリスクも…。

転倒や転落を起こると、高齢者の場合はそのまま寝たきり状態になってしまうことも多く、ますます認知症が進行してしまう恐れがありますよね。

 

ですから、家づくりの際はなるべく段差をつくらない工夫が必要なんです。

 

・不用意な段差をつくらない

・ラグやマットは置かない

・階段にはベビーゲートなどを設置する

・廊下や階段には手すりを設ける

・足元を照らすフロアライトを設置する

などの対策も講じましょう。

 

また、足元が冷えるからとスリッパを履くと、転倒のリスクが上がりますから、冬場でも足元が冷えないよう断熱性や気密性の高い家づくりをすることも必要ですよ。

【ポイント②1階に自由度の高い部屋をあらかじめ設けておく】

認知症の家族がいても介護しやすいよう、家づくりの際はあらかじめ1階部分に自由度の高い「ユーティリティスペース」を設けておくと便利です。

 

子どもが小さいうちは、プレイルームとして活用したり、ちょっとした書斎として活用したりするのもOK。

そして将来的に、認知症の家族やその他の理由から介護が必要なケースが出た場合に、介護用ベッドなどを設置するスペースとして活用しましょう。

認知症の家族が転倒や転落のリスクを回避するためだけでなく、介護する側の負担も減るのでおすすめです。

 

【ポイント③社会的交流がしやすい家づくりをする】

認知症の方の多くは、本人も不安や恐怖を感じていると言います。

しかし、誰にもそのつらさを理解してもらえないことで、社会から孤立してしまうケースが多いんだそうです。

 

たとえば、これまでバリバリ仕事や趣味を楽しんでいた人が、急に物忘れがひどくなってしまった場合。

不安や恐怖から、外出したり人と会ったりするのが億劫になってしまうこともありますよね。

 

すると、体を動かしたり誰かと会話したりする機会が極端に減ってしまい、ますますに認知症が悪化してしまうのだそうです。

こうしたことを防ぐためにも、社会的交流がしやすい家づくりをすることも大切。

 

・外出しやすいよう玄関の段差をなくす

・廊下や玄関に手すりをつける

・靴を脱ぎ履きしやすい椅子を設ける

・車椅子でも移動しやすいような広々とした玄関にする

なども検討しましょう。

 

たまには外の空気を吸い、体を動かすことで軽度の認知症の進行を遅らせることにもつながるかもしれませんよ。

 

【ポイント④居心地の良いスポットを用意する】

認知症の家族が心地よく過ごせるスポットを家の中に用意するのもおすすめです。

たとえば、四季の移り変わりを感じられる大きなピクチャーウィンドウを部屋に設けたり、リビングなどの一角にゆっくりと外を眺めながら過ごせるくつろぎスペースを設けたりするのもいいですね。

リクライニングチェアやソファがあると、リラックスして過ごせますよ。

 

【ポイント⑤ヒートショックを防ぐ断熱性気密性の高い家づくりをする】

ヒートショックは、部屋と部屋との温度差が激しいことで起こる健康被害で、ヒートショックで亡くなる人は交通事故で亡くなる人よりもはるかに多いと言われています。

 

認知症の方だけに限ったことではありませんが、室内環境を良くすることは非常に重要なことなので、家づくりの際は、

・断熱性の高い建材を使う

・床や屋根、壁などに断熱施工をする

・断熱性の高い樹脂窓とLow-E複層ガラスを使用する

などの工夫をしましょう。

認知症の家族に優しい家づくりをするメリットは?

認知症の家族にも介護する家族にも優しい家づくりに必要な5つのポイント!

認知症の家族に優しい家づくりをするメリットは様々。

その代表的なものをいくつかご紹介します。

【メリット①家の快適さが上がる】

認知症の家族のために…と考えた家づくりは、結果として「家の快適さ」そのものを向上させることにつながります。

たとえば、ヒートショック予防のために断熱性・気密性を上げることは、高齢者に限らず誰もが快適に感じますよね。

夏は涼しく冬は暖かく過ごせる室内は、誰にとっても心地良いはずですよ。

【メリット②認知症の進行を遅らせることができるかもしれない】

認知症のように生活に支障をきたすほどではないのですが、記憶力が著しく低下し、正常とも認知症とも言えないような状態を軽度認知障害(MCI)と言います。

軽度認知障害だからと言ってすべてが認知症の疑いがあるわけではありませんが、およそ半数は、約5年以内に認知症に移行すると言われています。

 

しかし、日ごろから体を適度に動かしたり誰かと会話をしたりするなど予防的活動を行うことで認知症の進行を遅らせることができるかもしれないと言われているんです。

ですから、室内で動きやすいようなバリアフリーな家づくりをしたり、外出しやすいような環境をつくったりすることが大切なんですよ。

 

【メリット③家族みんなが暮らしやすくなる】

高気密高断熱な家づくりやバリアフリーな家づくりというのは、認知症の家族だけにメリットがあるわけではありません。

実は、子育て中のママや妊婦さんにとっても暮らしやすくなるんですよ。

段差がないことで小さな子ども安全に歩き回れますし、お腹の大きな妊婦さんも転倒リスクが減ります。

このように認知症の家族に優しい家づくりは、認知症の家族を介護するという遠い未来の話だけではなく、今この瞬間も家族みんなが笑顔になれる家づくりになっていると思います。

認知症の家族に優しい家づくりをする際の注意点

認知症の家族にも介護する家族にも優しい家づくりに必要な5つのポイント!

認知症の家族に優しい家づくりをする際は、以下の点に注意し、負担のかからないよう配慮しましょう。

【注意点①将来を見据えて早めに行動する】

先ほども少し触れましたが、家族が認知症を発症してから暮らしやすい家づくりをするのでは遅いため、将来を見据えて、誰もが暮らしやすい家づくりをすることが望ましいです。

建て替えや新築では、どんなに早くても半年はかかります。

土地から探そうと思えば、1年以上かかることは珍しいことではありません。

 

ですから、30~40代のころに家づくりをするときに、将来を見据え、老後の生活も暮らしやすいような間取りにするなど工夫しておくといいでしょう。

 

【注意点②リフォームの際は劇的な変化は控える】

新築や建て替えではなく、いまある既存の住宅をリフォームする場合も、劇的変化はなるべく控えるようにしましょう。

 

認知症の方にとって、大きな変化は心の負担になってしまうことがあります。

「ここはどこ?」と自分の家ではないような、不安感や恐怖心を抱き、パニックになってしまうこともあるそうです。

 

新築と同様に、そもそも認知症の家族の介護があるからリフォームをするのではなく、今より快適な暮らしをしたいからリフォームをする…というような考え方にしておくことが理想的です。

 

認知症は身近な病気!将来を見据えた快適な家づくりを考えよう

認知症の家族にも介護する家族にも優しい家づくりに必要な5つのポイント!

それは10年先にやってくるのか、20年先なのか、誰にも予測することはできませんね。

だからこそ、いずれやってくる未来のために、今から暮らしやすい家づくりをすることが大切なんです。

 

私たち無添加計画では、安全持続性能の高い家づくりを推奨しています。

高齢者のみならず子育て世帯にとってもメリットの大きいバリアフリーな家づくりや、介護ベッドの設置も考えたユーティリティスペースの確保など様々なご提案をさせていただきます。

 

もちろん、新築だけでなく安全持続性能を向上させるリフォーム(またはリノベーション)もご相談可能です。

どの家族もみんな笑顔で過ごせる家づくりを、私たちと一緒に考えていきましょう。